きんもくせい
第九十一号 国際民族文化研究所
二〇〇九年十月二十日発行
岸、鳩山、吉田―戦いの負け方
新政権は戦後レジームを変えられるか
「自分の身は自分で守る」本紙で何回も取り上げたテーマであるが
、二十年に亘る海外生活で感じたことは日本は極めて特殊な国であ
るということである。まず、民族問題がない、そして外国つまりア
メリカに守ってもらっている、そんな国はまず世界に例がないと言
える。そのため国内は一見平和であるがその裏側は国家としてのタ
ガが緩み人心は緊張感を失い荒廃すら感じられる。アメリカや中国
、ロシア、ドイツ、フランス等どの国にも民族問題はあるし外国の
支援はあると言っても国家としての独立は守っている。なぜ、日本
がこのような三流国家になってしまったのか。政治家や有識者の一
部は日本は経済大国で一流国家であると言うがそれは世界に通用し
ない。戦前のユダヤと同じで金持ちの国だからODAの援助等に群
がるだけで世界の人々は日本や日本人を決して尊敬していない。本
紙で「日露戦争と桂首相」を連載したが、当時の日本は世界から尊
敬の眼で見られていた。太平洋戦争で日本を破ったアメリカのマッ
カーサーやニミッツ提督でさえ日本を尊敬し、乃木大将や東郷提督
を師と仰いでいたのである。当時の日本はなり上がりの新興国なが
ら「自分の身は自分で守る」ため世界最強のロシアと戦い世界の尊
敬を集めていた。しかし、現在の日本はどうかというと戦後六十年
以上にもなるというのに言葉は悪いがアメリカの属国の状態にある
。なぜか。
安保条約が日本人を過保護にしている。個人的なことであるが私
は五十年近く前に日米安全保障の仕事をしそれ以来殆どがアメリカ
関係の仕事に携わってきて日米関係をあらゆる角度から研究する機
会に恵まれた。日本は敗戦によりアメリカの支援により今日に至っ
ているが、物質的な面はともかく精神的にアメリカ依存の精神構造
になってしまった。子供を育てる際最も害になるのは過保護とも言
われているが日本の戦後は過保護で育てられた子供が大人になった
ようなもので、拉致問題はじめ多くの問題を解決できないでいる。
歴史を振り返ると吉田首相がサンフランシスコ平和条約を結んだ
直後誰に相談することもなく一人でアメリカと安保条約を結んだ。
同行した池田勇人が同席しようとするとこの条約は日本にとって後
で大変な問題になるから君に迷惑をかけたくないとして吉田一人が
調印に望んだ。吉田は大久保利通の孫娘と結婚したり、戦前戦中親
アメリカ派であったこともあり外務次官、駐英大使そして首相にま
でなったが外交官としては当時最も成績の悪い者が辿る中国専門家
であり、首相になったといっても鳩山一郎が第一党の党首として組
閣直前公職追放になり吉田がタナボタ式に首相になった経緯があり
吉田は首相の器ではないとの意見を公然と述べた当時の指導者もい
た。しかし吉田の見識が高かったのは安保条約は必ず日本にとって
大きな問題になると読んでいたことであり問題はその後六十年も安
保条約に疑問を持たない総理大臣が続いたことである。ただ、アイ
ゼンハワー大統領がダレス国務長官を日本と韓国に派遣し真の独立
国になるには再軍備の必要があると熱心に勧めたのに吉田は耳をか
そうとしなかったことは今から考えると軽率であったかも知れない
。なぜならばアイゼンハワーはその人柄から考えて日本を防共の盾
にするというよりも日本を独立国として強いパートナーにしたかっ
たに違いないと考えるのである。
鳩山一郎は追放が解けて首相になると日本が真の独立国になるた
め改憲、再軍備を熱心に主張したが当時の世論は貧乏から抜け出す
ことが先決と考えその主張を成功させることはできなかった。もし
鳩山が公職追放にならなかったら安保条約を含め日本の姿は変わっ
ていたであろう。その後首相になった岸信介は東京大学を首席で卒
業し将来日本の進路を導く学者として大学に残ることを強く勧めら
れたが農商務省に入り満州建国に貢献し東條内閣の商工大臣になっ
た。しかしサイパン陥落で東條内閣を倒し戦後はA級戦犯容疑で投
獄された。アメリカの対ソ戦略の変更により釈放され首相になり不
平等な安保条約を改正した。しかし学生や知識人を中心とする安保
条約反対運動で首相の座から追われたが、戦前の経験からそしてア
イゼンハワーと親しい関係にあったことから国家としての本来の姿
は安保条約ではなく改憲、再軍備をして日米軍事同盟を結ぶことを
考えていたに違いないと思う。安保闘争当時の日本人は岸に対しア
レルギーを持ち社会主義に憧れていたこともあったが安保条約には
深い懸念も持っていた。
今後世界に大きな戦争は起こらないと誰もが思っているが、北朝
鮮や中国との関係を考えると情勢の変化によっては日本はミサイル
の一発や二発打ち込まれることだって考えられる。問題は非同盟諸
国の重鎮北朝鮮や今や政治・経済大国の中国は日本などどうにでも
なると思っていることとアメリカが日本を守り切れるか、アメリカ
の世論は自国の犠牲を払ってまで完全に日本を守ろうとするかであ
る。百人以上の自国民が拉致され政府はその事実を隠し通し明白に
なればアメリカ頼みではアメリカ人も心の底では日本政府の不甲斐
なさにあきれている。私の年代では終戦後の子供の頃喧嘩で明け暮
れたが相手になめられることは既に負けているのである。
戦後の指導者の鳩山一郎や岸信介が考えていたように独立国であ
れば最小限の軍隊は必要である。憲法は面倒な改正ではなく一部修
正して付記するに留め、性能のよいミサイルやロケットを開発し時
代遅れの常備軍は最小限に抑え場合によってはスイスのように国民
皆兵制にすれば日本はなめられまい。十年ほど前インドにいたとき
パキスタンと核戦争寸前の状態になったがアメリカ国務省のアーミ
テッジ氏が強引に説得して戦争にならなかったがその役割は日本が
行って欲しかった。今度の政権は国内の諸問題が一段落したら拉致
を含む安全保障と核廃絶、環境問題で世界の指導的役割を果たして
欲しいと願っている。
**国際民族文化研究所**
目的:歴史を研究することによって現在や未来を検証する個人研究所
主宰:三枝篤夫
住所:埼玉県狭山市
メール:saegusa46@hotmail.com
実績:本名で過去数冊の出版実績あり
研究所機関紙「きんもくせい」(本紙)をメルマガ等で配信
その他:メルマガ、ブログで受信の方は機能上新聞の形でなくベタ打
ちになり ますのでご容赦くだい
**悪戦苦闘の株取引**
アメリカの株価は久し振りに1万ドルを突破した。金融をはじめ大
企業の決算が予想以上に良好で、このところ再び株価の下落に歯止め
がかからなかったが暫くは上昇を続けるかも知れない。
100年に1度の不景気も当初予想したほど深刻にはならずアメリ
カの雰囲気は底を打ったとの見方をする専門家が多いようだが、ドル
の低迷状態をみているとアメリカ経済が本当に上昇しつつあるとはど
うしても思えない。
日本では新政権ができたが国内問題に追われ経済政策が見えて来ず
今後の日本の株価の予想は難しい。
歴史推理小説 その時思った
(本短編集は英雄たちが歴史上の決断をするとき何を思ったか推測に
より記述したもので、歴史上の事実関係には極力忠実に従いましたが
、主人公が思ったことや周囲との会話は推測でありその意味で歴史推
理小説として位置付けました。三枝篤夫著)
第ニ話 東條英機とフランクリン・ルーズベルト
ほとんどの日本人とアメリカ人は戦争をしたくなかった。昭和天皇と
東條英機首相は全力を尽くし日米和平を目指し戦争を避けようとした。
ルーズベルトも国民の九割が戦争に反対であり、彼自信も障害者とし
て苦難の道を歩んだ経験から弱い立場の若者を戦場に送ることは忍び
なかった。しかし、なぜ日米は戦うことになってしまったのか。
その四 泥沼の日中戦争
東條は近衛に対し更に述べた「蒋介石は日本が日露戦争で世界の強
国ロシアを破ったことに刺激されて中国政府が千三百年以上も続いた
官僚制度である科挙を廃止し中国革命を成功させた孫文らとともに日
本に派遣された留学生で、日本の陸軍士官学校を卒業し新潟の実践部
隊に配属された経歴を持つ親日的な軍人で当初は毛沢東の共産軍を敵
として戦っていた。勿論日本が中国の領土に満州国を建設したことは
決して面白くは思っていなかったがそれよりも中国がスターリンの共
産主義に飲み込まれることを恐れていた。そのため必死になってスタ
ーリンの手先である毛沢東と戦っていたが、西安というところで日本
軍に父親を殺された配下の張学良に裏切られ共産軍に身柄を拘束され
共産軍と一緒に日本と戦うことを誓わされた。私は思うのだが蒋介石
は決して日本を敵とは考えていない。最も怖いのはスターリンのロシ
アであり、ロシアが中国を窺っているためアメリカやイギリス等欧米
諸国が蒋介石を支援するという構図ができてしまいアメリカやイギリ
スはロシアをけん制するとともに日本が進出することも面白くなく結
果的に親日的な蒋介石は日本も敵とすることになってしまった。そし
て西安事件で共産軍と手を組んで日本と戦うことを誓ったため今や日
中戦争となってしまった。
しかし、ここで大切なことはアメリカやイギリス、オランダといっ
た欧米諸国を味方につけた蒋介石と戦って誰が得をするか。漁夫の利
を得るのはスターリンや毛沢東である。蒋介石が中国各地で日本の守
備隊を攻撃する現実があり日本の中国における利権を守る必要もある
が、アメリカやイギリス、オランダは日本がドイツ、イタリアと同盟
を結んだことをもって日本を半分敵国視している。アメリカ国民は他
国の争いに巻き込まれることを嫌っているため軍事的な準備が出来て
おらず日本と戦になることは今はないかも知れないがこれ以上蒋介石
と戦うことは得策でない。首相として何とか蒋介石と手を結ぶ術がな
いものか」。近衛首相が答えた「私もあなたの意見には賛成だ。しか
し・・・・陸軍の勢いを抑えることは私には。むしろ陸軍大臣のあな
たなら出来るかも知れない」。東條は言った「陸軍は成り行き上蒋介
石と戦ってきたが矛を収めるのは外交しかないと考えるが」。近衛が
言った「統帥部はあなたであれば押さえられると思うが」。東條が答
えた「統帥部は陛下直属の組織で陸軍省の考え方とは若干異なり日本
の利権を守るという大義名分があり私としては理解できない訳ではな
い。しかし日中の争いを何とか早く平和裏に収めて欲しいと願ってい
る陛下に統帥部は一ヶ月で収めると言ったのにこのように長期に亘り
日中戦争になったことは統帥部の責任は大きい。しかし、統帥部は参
謀総長が陛下に直属した組織とは言え陸軍の一部であるから陸軍大臣
の私にも責任はあるが、日中戦争がこのように拡大し外交上も手の打
ちようがないとすると引くに引けない状態である。蒋介石と和解でき
ないならば蒋介石を屈服させるしかあるまい。まさか日本軍が中国に
いる在留邦人や財産を見捨てて撤退すれば世界の笑い者になるだけで
あるし、撤退する大儀名分もない」。近衛が言った「要するに、解決
の道はただ一つ、蒋介石を一刻も早く屈服させることか。日本は別に
中国の領土や賠償金を欲しい訳ではなく盧溝橋の一発で始まった小さ
な出来事が成り行き上戦争になってしまい中国から手を引く大儀名分
がない状態にある訳だ。しかしどう考えてもアメリカやイギリスを敵
に回すことはまずいな」。東條が言った「その通りだ。とにかく早く
戦争を終わらすことだ」。
アメリカは中国がロシアに侵略されないよう蒋介石に軍事的な援助
をしていたが、ルーズベルトも国民も中国と日本との争いには距離を
置いていた。しかし、国務省は日本が強引に満州国を建設し蒋介石を
攻めていることに強い不快感を示し、またアジアやアフリカの植民地
建設でヨーロッパに遅れをとり中国もその二の舞になることを恐れて
いた。ハル国務長官はルーズベルトに問うた「大統領、国務省やOB
たちはアメリカの対中国政策に強い不満を持っていますが」。以下
次号
**家庭菜園奮闘紀**
今年はエルニーニョのためか雨が多く日照が足りないためどうも調
子が狂ってしまう。
来年収穫のキャベツやネギの芽が通常は4-5日で出るのに半月以上
もかかってようやく芽が出始めた。半ば諦めていたのに何とか期待通
りになったが雨や日照の植物に与える影響が大きいのには驚かされる。
そろそろサツマイモやサトイモを掘ろうと思っているがどうもタイミ
ングが難しく、来週か再来週にでも決行したいと考えている。
**温泉療養**
ここ数週間は気候の変わり目のためか三十年来の腰痛に悩まされ、足ま
で変調を来たしているので椎間板ヘルニアと覚悟しているが、病院に行
くほどではないので、二十年以上続けている温泉療法でごまかしている。
草津には年2-3回しかいけないが、近くの町のトローン温泉がよく効
くので助かっている。
**上級英会話教室**
PART 9 日本の矛盾点
問1: 日本では年配者を高齢者、老人と呼んでいますがもっと適切な日
本語はないのですか。
答え: 日本では昔から年を取った人を何となく差別する意識がありまし
た。酷い例では「姨捨山」などありますが、役所では現在でも前期
高齢者、後期高齢者と差別用語を使っています。アメリカなど就職
の際にも年齢を撤廃し年を取った人を「シニア・シティズン」と尊
敬の意をこめて呼んでいます。
英語: In Japan, there has been somehow discriminative consciousness
among people to the aged person from old time. One of the sad example
is the old custom which leave old women behind in mountain, but even
now the Government uses discriminative word like “junior elderly” and
“senior elderly”. In the United States, age barrier is avoided in the
entrance examination for companies, and the aged people is called
“senior citizen” which contains some sense of respect.